雪だるま式

春の夜はきらびやかなのに静かです。
半袖で出歩いたからか、梅雨の真っ只中だからなのか、ほんの少し肌寒いですが、それでもなんだかウキウキして外出したくなるのです。

以前誰かに言われたとおり、俺はスマホ依存性なのだと思います。
それでも、春の夜に外でタバコを吸う時には、スマホから顔を上げてふと何かを眺めてしまいます。
パチンコ屋のギラギラした電光とか、誰かが捨てていった道端のプラスチック袋も、何もかもが春に馴染んでいる気がします。

ずっと春が続けばいいのに。そしたらもう少し優しくなれたり自然を愛せたりして、人生の隙間が満ちていくのに。


なんでもっと自信を持って生きられないんだろう。
みんな当たり前のように自分自身を表現しながら生きているのに。俺はいつも何かの前で声を出せずに、過ぎ去るのを待つばかりだ。


選択していくのが怖い。分岐点は間違いだらけだった。
声すら出さずに何も選ばなければ、間違えすら起こらないと思っていたのかもしれない。

目を伏せて生きることは断罪されるほどの悪でしょうか。選択していくことで人間を突き落とすよりは、罪が軽いものでしょうか。

加害者にならないことが優しさだと勘違いしてきたんです。
誰かの体に毒が回ることを知っていながら、問題を先送りにしてしまうのは、優しさなんかじゃない。


ごめんね。幸せに生きていてほしいから。考えれば考えるほど、終わらせてしまいたくなる。